6月1日;
 今日はCEPEの最終日だったので(アメ人がたくさん帰るのだ)、フィエスタがたくさんあった。大変。向かいにステイしてたアメ人の女の子に、朝、お誘いを頂いて、まあ今まで断り続けてきたんやし、最後くらいな・・・と思って、行くことを約束した。学校はテスト。あかん。あほみたいに簡単で(勉強になったとは思うけど)これじゃいかん。友達が「文学の授業はいけてる」と言ってたので、次からとろうと思う。さて、授業が終わったあと、「通称mariscos」面白い男の子とギターを弾いて遊んだ。ギターひとつ知ってると、面白いのは、畑違いの音楽でも(彼はアメリカの一般的なロック・ブルースが好きなようだった)手クセとかを見ていると面白いことをやってたりするところ。3コードでサクサクいくかと思いきや、明らかに自分でひねり出したようなコードを織り交ぜてくる。いくつか、頂きました。
 さて、彼もまた、自分でうたをつくるアグレッシヴな人間なので、もちネタをしきりに披露したがる。一曲、とても気に入ったのは、彼が果敢にスペイン語でつくった、こんなうた。

♪HAY MOMENTOS EN LA VIDA QUE NO QUIERO REGRESAR,
 HAY MOMENTOS EN LA VIDA QUE NO QUIERO RECORDAR,
 HAY MOMENTOS EN LA VIDA, QUE NO QUIERO OLVIDAR......♪

これだけ。この詩を、Am→Emのコードで、ひたすら繰り返す。とてもシンプル、でも、いい詩じゃない?スペイン語のうたをつくろうとしたときに、ただひたすら文字を詰め込もうとしていつも失敗してたんだけど、こうやって1フレーズから展開していくというのはやりやすくて、いいなあ。これも、頂きました。

HAY MOMENTOS EN LA VIDA QUE YO QUIERO RECLAMAR,
 HAY MOMENTOS EN LA VIDA QUE YO QUIERO ARRUINAR,
 HAY MOMENTOS EN LA VIDA, QUE YO QUIERO....♪

こんな感じですかね。さて、まず向かいのコのお誘いに乗り、とあるカンティーナへ行き、ひとさくり喋ってから、飲み代も払わずに(笑。まあ、人数多かったし、ぼくはコーラしか飲んでないし、うやむやになってるでしょう)そこを抜け出して、ギター小僧の彼が行くと言っていた家へと向かった・・・予想通り、アメ人ばっかりで、しかも知らん人ばっかりで、さて、どうしようもなく、ひとりで階段に座りギターをつまびく始末。結局、ギター小僧は来なかった・・・ぼくはきみに会いにきたつもりやってんけど・・・まあ、明日、アメリカに帰るって言ってたし、いいとしよう。もう少し、早く知り合ってれば、面白いことができたんじゃないかな・・・とは思う。この一ヶ月、余りに人を避けすぎてた、というか、人と係わり合いになる余裕が無かったというだけなんだけど。
 かなんかったのが、全身にピアスをして、明らかにドラッグをやってる目をした女の子(女の子とは言いがたいな。多分30は越えてる)が、ソファーでうとうとしてるぼくの隣に座ってきて、やたらと手を握ってくる。さすがにちょっと気持ち悪くなった。頼むからほっといてくれって感じです。

6月2日;『相変わらず・・・』
大して書くこともないので、以前に撮った写真を。


でかいナベにぎっしりつめてあるのは、タマーレスという、なんか団子状のものの中に肉類や、時にはパイナップルを詰めたもの。まあまあおいしい。

で、彼は、ステイ先の三男坊、ベトです。
仕事は家でクッキーを焼くこと。

このうちの三人兄弟は、皆30を越えてるにもかかわらず、未だに結婚していない。どうなんでしょうか。こういうのは。

 



sそして、最近気になる、ウチの近くの小さな街路樹。

いつ見ても丸い。

かわいい。







 


6月5日;『今日はギターの日。』

 今日は、ギター講習初日・・少し緊張。さて、ホームページの日本語訳をぼくに頼んだヒトがいて、今日はそのヒトの家におじゃましてきた。これが、めちゃめちゃ「可愛い」ねんわ。普段は、この、女の子が適当に誤魔化すときによく使う言葉を嫌うぼくですが、今日はなぜか真っ先にこの言葉が浮かんだ。「可愛い・・・・」ルイスとの約束にまだちょっと時間があったので、カフェに入って勉強しがてら、考えた。うーぬ・・・ということで、引越しします。もう決めました。あんなに安くて、可愛い家を見せられたら、かないませんわな。ちょっと学校に遠くはあるけれど、いいです、チャリンコあるから。
 ティアンギス(屋台の市)にて、今日はここに来て初?弾き語りのごときものをやった。あかん。これもまた、恐ろしく気持ちよかった。お決まりの『日曜日よりの使者』を、全力で、弾きまくった。テクなんてものはなく、ただただ動きとノリで笑わせるのもいつも通り。おお。メキシコ人に、この熱意が通じてる?しきりに「バスの中で歌え」と勧められた。そう、それはぼくも以前から考えてたことですよね。やってみましょう。なにかにつけて、HAY QUE TRATARですわ。
 ルイスのギター教室は、よかった。彼はいいやつだ(て、初めていったヒトはみんなそう思うか)。ぼくが知りたかったのは、メキシコ・ラテンアメリカのトラディショナルなやつで、彼もまた、普段そうゆうのを弾いているヒトだった。コードは、難しくない。でも、いろんなリズムがあって、それを覚えていかなきゃならない。曲調は皆抜けるように明るいものばっかりなので、詩もそんな感じかな?とおもってたら、とんでもない。社会ネタがばんばんでてくる。ぼくは、1900年代初頭、革命期に作られたという「CORRIDO」というジャンルが気に入った。あと、ずっと探してた、ビオレータ・パラの曲も、ルイスはたくさん知っていた。CHIDO!
 
面白くなりそうな、はじまりがたくさんあった、一日でした。




6月8日;

 最近、よく雷が鳴るようになった。メキシコの気候はほんまによくわからない。雷がピカピカしてるのに雨が降らなかったり、逆にすごく晴れてるのに降ってきたり。みんな「雨季」と言ってるけど、そんなイメージにはほど遠く、「少し雨が多いかな?」程度。みんな、傘はささない。酸性雨とか、ないんですかねえ・・・宮部みゆき『理由』読んだ。文体もあるんやろうけど、見方が一方的じゃないのがよかった。

6月9日;『AGUA AZUL』
 まゆみさんと、アグアアスールの市に行ってきた。話では「フリマみたい」ということだったが、いや、よかった。うさんくささが。うさんくささがいい。



 ほりうち氏、小鳥と戯れるの図。CDの海賊盤、けっこういいのがそろってて、今日はBRINK−182のライブアルバムと、VANDALS、そしてメキシコが誇るツインベースバンド(多分)MOLOTOVのCDを買いました。一枚、30ペソ前後。こりゃ真面目に普通のCD買ってられませんわ(笑)イヤ内緒やで。関空で取り上げられそうやわ・・・







 アクセもかわいいですね。ぼくはわからんところやけど、ウィチョール族のヒトがつくるビーズのやつがいいらしい。ぼくは、うさんくさい石がついたやつがいい。ああ、あと、めちゃかわいい靴売ってた。靴底がなんと古タイヤ・・・!そら安いわ。70ペソ。でも、革はしっかりしてるし、釘であほみたいに固定してあるから、丈夫は丈夫。アニメオタクも健在。ヘヴィメタのTシャツ売ってる隣で、ラムちゃんの絵を売ってる。エヴァンゲリオンも大人気。これもって帰ったら高く売れたりするんかなあ・・・









いい天気でよかったです。ほんま、がらくた売ってるようなとこもあれば、気合入ってるところ、特に靴なんかは、自分で作って持ってくる・・というのがけっこうあった。道あるいてても気付くのは、なにかと修理する店が多い、ということ。靴底、スピーカー、カメラ・・・まゆみさんは、ベルトの長さを調節してもらってた。そして、自分で作って持ってきはるから、オーダーメイド可能。ぼくは、タイヤ底の靴のオレンジ色を頼んどきました。来週には出来てるみたいですわ。









セントロ近くに行ったついでに、お気に入りのタコス屋に行った。久々です。うまかったです(としか言いようないっすね)ここのみたいに、肉を煮込みにしてるの、「GUISADO」てゆうらしいですね。どうやってつくるんやろ・・?












こんな感じで。いい天気の土曜日ですわ。あ、はやいとこ引越しの準備しないと。

6月10日;『おかいもの』
 今日は、引越し用のでかいかばんと、ギターのストラップと、セントロで勉強するにやりやすいカフェを探しに来ました。・・・やっぱり何回来ても(でも3回目くらいか)メルカードのうさんくささには圧倒されます。ここも、一日過ごせますね。楽しい。引越しすると、ちょっとだけここに近くなる・・・普段の生活がここ中心になっていくのは、とても楽しみです。

 今住んでるところからは、ここまで来るのはけっこう遠い。今日の道中の友は新渡戸稲造『武士道』です。最近サムライにハマッてます。ヘーゲルとかニーチェとかからの引用がたくさんあったけど、『葉隠』からの引用は全く見当たらなかった。新渡戸さん、読んでないんかなあ・・?時期的には、日清戦争後、日露戦争前くらいにあたるらしいが、しかし、とてもアグレッシヴな文体。今のヒトが読んだら、右翼の香りぷんぷんやなあ・・・いやいや、おもしろかったです。思ったのは、彼もたくさん引用している、ニーチェの思想、ひいては実存主義との類似・・・そして、この前文芸春秋やったかでちらりと読んだ、西欧的「個人」の概念と、日本的「世間」の概念について。武士道は、新渡戸さんが「外見的ストイック主義」と表現しているように、外側にあらわれでる部分にとても気を遣った。哀しみや悦びの激情を表情に表すことは不道徳だった。いつのときも「うやうやしく、にがみありて、調子静かなる」が良しとされた。この辺、サルトル『実存主義とは何か』の中に、被るような表現があった。また、武士道の真髄、自己犠牲・滅私奉公の精神は、ニーチェの「超人思想」に被る。妻は夫に、武士は大名に、力持つ者はさらに高い、天の理に、服従する。しかし、それはあくまでポジティヴな服従、ニーチェの表現でいけば、より高い者に「憧れる」という感覚。自らサムライたらんとする意志、切腹してまでみせる自己肯定・・・それはそのまま「力への意志」と置き換えてもいけると感じた。おもろい。この辺、一回まとめてみたいわ。
さて、おそろしく脱線。カフェも見つけた。内装は余り良いとはいえないけど、二階のバルコニーなので眺めはいい。店員さんも、いそいそと勉強しだしたぼくに「ALGO MAS?」と訊いてくることもない。快適。
 明日はTELMEXのオフィスと、お洗濯、そして友達にチャリンコもらいにいってきます。

 

 

 

 

 

 

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